反逆的な美に陶酔! 天才的デザイナー、アレキサンダー・マックイーンのドキュメンタリー

『マックイーン:モードの反逆児』
『マックイーン:モードの反逆児』
ファッション業界の革命児にして天才的デザイナー、アレキサンダー・マックイーンの劇的な人生と、彼が残した作品群をフィーチャーしたドキュメンタリー『マックイーン:モードの反逆児』が4月5日(金)より全国公開される。ビョーク、レディー・ガガ、リアーナなどの傑出したアーティストから愛され、キャサリン妃のウエディングドレスも手掛けたマックイーン。彼は、2010年に自ら短い生涯を断ったが、それはモード界においても大きな損失だった。

折しも、彼のように前衛的で、生き方もパンクなデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドを追ったドキュメンタリー『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』が公開中だが、こちらは今も現役バリバリの小粋なマダム、ヴィヴィアン自身の素顔に迫った1作だ。マックイーンが大のマスコミ嫌いだっただけに、本作は彼を取り巻く生き証人たちの言葉に、クリエイティブなショーとその舞台裏の映像によって、輝かしいキャリアと共に、天才ゆえの苦悩も浮き彫りにしていく。

ロンドンの労働者階級出身の彼がファッションに目覚めたのは、16歳で老舗テーラーにて働き始めたころだ。その後、単身でイタリアに渡り、まずはイタリアブランドを手掛けるロメオ・ジリの門を叩く。さらに失業保険を元手にファッションデザイナーとして鮮烈なデビューを果たす。

バッシングと称賛の嵐を浴びた挑発的なショー「ハイランド・レイプ」は嫌悪感から退出する人もいたそうだが、その才能は評判を呼び、後にエレガントなパリのグランメゾン、ジバンシィのクリエイティブ・ディレクターに大抜擢される。マックイーンはここでも“攻撃”の手を緩めることなく、反骨精神に満ちた斬新なショーを展開していく。

エッジのきいたショーの数々は、本作の見どころの1つ。なかでも1999年春夏のショーで、工業用ロボットが白いドレスにスプレーペイントを施すというパフォーマンスは当時も大いに話題を呼んだ。やがて彼は、ジバンシィからグッチに鞍替えすることになるが、この頃にはすでにドラッグに溺れ、最愛の母を亡くした喪失感のなかで、ドラマティックな人生に終止符を打ってしまった。

天才を愛し、称えてきた周りの人々は、マックイーンをトップデザイナーやアーティストとしてだけではなく“彫刻家”“マジシャン”“魔法使い”とも表現し、彼への賛辞を惜しまない。「彼にとってファッションは世界とつながる手段だった」と言われるが、知られざる不器用な素顔も見ていて切なくなる。おしゃれ感度の高い女子はぜひ、この“モードの反逆児”による唯一無二のショータイムを劇場で堪能して!

『マックイーン:モードの反逆児』
監督・脚本:ピーター・エテッドギー
監督・製作:イアン・ボノート
音楽:マイケル・ナイマン
出演:リー・アレキサンダー・マックイーン、イザベラ・ブロウ、トム・フォードほか
2019年4月5日(金)より全国ロードショー
http://mcqueen-movie.jp/
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