服を替えれば、人生が変わる! 伝説のパーソナルショッパーの自伝、待望の日本版が登場

ニューヨーク・マンハッタンの五番街に佇む高級老舗デパート「バーグドルフ・グッドマン」。そこに、90歳でもなお現役で活躍する“伝説のパーソナルショッパー”がいることを、あなたは知っていますか?
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『人生を変えるクローゼットの作り方 あなたが素敵に見えないのは、その服のせい』
ベティ・ホールブライシュ、レベッカ・ペイリー著 野間けい子訳 集英社 1600円

パーソナルショッパーとは、顧客に合わせてショッピングや着こなしの相談に乗る、個人スタイリストとショップスタッフを兼ね備えた人のこと。著者のベティ・ホールブライシュさんは、世界中のセレブを顧客に持つプロ中のプロで、バーグドルフのパーソナルショッピン部門”ソリューションズ“のディレクターを40年以上にわたって務めています。そんな彼女が2014年に出版した自伝の日本版が、今月発売されました。

華やかなセレブリティの暮らしから一転、自立して天職とも言えるパーソナルショッパーに出会い、成功を収めるまでの波乱万丈の物語は、世界中の女性たちを勇気づけてきました。

シカゴの裕福な家庭の一人娘として生まれたベティは、恵まれた幼少期を過ごしました。若くして大富豪の息子に見初められ、結婚。二児の母となり、第二次世界大戦後の活気あるアメリカで華やかな暮らしを送りますが……。

アルコールに溺れ、浮気を繰り返す夫。ベティ自身も対抗して浮気を繰り返すも心を病み、自殺未遂。その果てに結婚生活は破綻をむかえ、ついには乳がんを患ってしまいます。その後、知人に声をかけられて40歳間近に働き始め、そこからベティは見事に立ち直ります。類いまれなセンスとユーモアと、歯に衣着せぬ物言いで多くの顧客を獲得。バーグドルフ・グッドマンで“伝説のパーソナルショッパー”と呼ばれるまでの成功を収めます。
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日本からの取材に答えるベティ。個性的な着こなしはさすが。 ©Michika Mochizuki
作品の中には、次々と著名人が登場します。デザイナーのジェフリー・ビーン、アイザック・ミズラヒ。キャンディス・バーゲンやミア・ファロー、メリル・ストリープなどハリウッド女優たち。そして、Sex and the Cityの衣装を担当したスタイリスト、パトリシア・フィールド。

また、顧客とベティとのやりとりも面白い。服を選ぶとはどういうことか。似合わない服は売らない、というベティの率直な姿勢も、顧客から支持される理由の一つ。なによりも働く女性の大先輩としてのベティが、この本最大の魅力かもしれません。

90歳を迎えた今日も、ベティのスケジュール帳は予約でいっぱい。残念ながら、日本人のクライアントはまだいない、というベティ。日本の顧客第1号になるのは、あなたかもしれません!

この冬、ぜひ読んで欲しい作品です。